記憶の片隅に





だから、凌央と里衣が別れた時にはめっちゃ腹立った。


お前と別れてからの里衣は、どんどん暗くなっていって…

いつか見たような、無理してる笑顔で笑うようになった。


何も知らなかったから。

里衣から、凌央のことだけ忘れたこと聞いたとき、凌央の気持ちも考えた。


すげぇ、痛くて。

凌央からすれば、俺に何が分かるんだって感じかもしれないけどさ…


俺は、俺なりに心配してる。


それに、俺には里衣を救えない。

俺は里衣を幸せな笑顔にはしてやれねぇから』







『たとえ…、忘れられたとしても、俺たちならまたゼロからでもやり直せるって思ってた。


けど、俺は里衣を傷つけるだけだった。


傷つけて、傷つけて…

自分まで痛くなって。


もう…これ以上、里衣に辛い思いはさせられない。


里衣に幸せになってもらうには、俺じゃダメなんだ…』