記憶の片隅に





『…俺は、強いんじゃない。

強がってるだけだよ…。


遥斗、今日は帰ろう』





『…そうだな。

凌央、めげることねぇよ。

里衣と凌央は簡単に消えちゃうような関係じゃないだろ。


俺は信じるよ。

二人の関係をさ…』




俺は一瞬、言葉につまった。




『…あぁ。サンキューな』





その後は、二人とも何も話さなかった。




無言で病院からの帰り道を歩いた。



二人とも、きっと考えてるコトは同じ。




里衣のコト。




事故以来、里衣はあんまり笑わない。



ずっと、不安そうな顔で無理させてるみたいだ。




原因は俺にある。




それが分かってるから、どうしようもできない。




無理に思い出さそうとしても、無効。




逆に里衣に負担をかけるだけだ。



はっきり言って…



今の俺には何もできない。




俺の存在自体を忘れてる訳だから、里衣の支えになることさえもできないんだ。




最近、イライラしてくる。



それは、俺を忘れた里衣に対してじゃない。




里衣に、何もしてやれない自分の無力さにイラつく。




俺は家に帰ると、ベッドに横たわり目を閉じた。




ふと、思い出す。



里衣との過去…。