記憶の片隅に





俺も部活のTシャツに着替えて、球技場に向かった。




球技場にはすでにギャラリーがいっぱいいた。




練習前のアップを軽くすませる。



遥斗と2人組でストレッチしてると、遥斗が観客席の方を見て



『あ』



と言った。





遥斗の視線をたどると、猪股が里衣を引っぱって観客席に座ろうとしてた。





『梨花子だ』




遥斗が一人言のように呟いた。





『俺、今日がんばれるわ』





遥斗の言葉に、疑問を感じた。




『遥斗、お前…っ』





『ほら、里衣もいるぞ』




遥斗が明らかに話を変えたことで、確信がついた。





『遥斗、猪股のこと好きなのか』




『バレた?』





『今、知ったよ』





『まぁ、結構前からだけどなー…。

あ、集合かかった』





顧問の集合で、俺たちは球技場の真ん中に集まった。