記憶の片隅に





『里衣…どした?』




自分にブレーキをかけながら、聞いた。




でも里衣は俺の質問には答えなかった。




そして、戸惑いながらこんなことを聞いた。





『…前にも…こんなことなかった?』





『あぁ。あったよ

覚えてるのか!?』





それは、俺たちが初めて喋った日。



中1の暑い夏の日。





『分からない。でも…すごい懐かしい』





単純に嬉しかった。




里衣が俺との想い出を少しでも覚えててくれたこととか。




そんなことを、懐かしいと言ってくれたこととか。




普通に、うれしく思えたんだ。




その事に、少しだけ期待している自分もいる。




里衣が、全て思い出してくれたら…


俺たちはまた一緒にいれるのか?



女々しすぎて、自分でも少しひいた。




やっぱり、簡単にはいかないだろう。