『いつも、近くにいるものだと思ってたから。
あたしは、いつまでも彼といれるんだって、思い込んでたから』
数学の授業中、星野がそんなことを話してくれた。
俺と全く同じ考えだと思った。
『俺もだよ。
大切な人がそばにいるのは、当たり前だって思い込んでた。
失くしてから、そういうことって気付くんだよな』
『まだ、里衣ちゃんのこと?』
『情けないだろ、自分でもそう思うゎ』
『全然、情けなくなんてないよ』
俺たちはそう言ったきり、何も言わなかった。
少しすると、星野は寝てしまい、俺は星野の分までノートをとってやった。