記憶の片隅に





『違うの』




『え?』




あたしのかすれそうな声に、優吾は聞き返してきた。




『…原因はいつもあたしの中にある。

ほんとは、あたしが泣くべきなんかじゃない。


あたしは、傷ついたんじゃない。

傷つけたの。


全部、ぜんぶ、あたしが悪いの』





『里衣?』





『優吾には、言ってなかったよね』




あたしは、優吾に話すことを決めた。




『あたし、事故にあってから何も後遺症はないって皆には話してた。


けど、あったの。

しかも、残酷で辛い後遺症』





『…どっか、悪いのか!?』





『体は元気なの。

でも、事故の衝撃で…


記憶を、失ったの』





『記憶!?』