記憶の片隅に





『…ごめん、優吾…』




優吾は悲しく笑った。





『…だから、俺。

今、めっちゃ凌央に腹立ってんだよ。

一回、明るい世界に連れ戻したんなら、最後まで守るべきだろ…。


俺にできなかったコト、最後までやり通すのが常識だろ。


里衣は気付いてないかもしれねぇけど、凌央と別れてからずっと…

おまえ、泣きそうな顔してる。

笑ってても、どっか不安定で危なっかしい。


里衣を最後まで泣かせんなよ』





あぁ、そっか。

優吾は知らないんだよね。



あたしたちが終わった原因は全部あたしの中にあること。




優吾は凌央があたしを突き放しただけだと思ってるんだ。




違うんだよ。


凌央は、きっと最後まであたしを守ってくれるつもりだった。




それを壊したのはあたしなの。



傷付いたのは、あたしじゃない。

凌央なの。




違うんだよ、優吾。