記憶の片隅に





あたしは、何も答えられなかった。




今、目の前にいる人。



優吾は、いつもあたしの味方だった。




優吾のことは、“親友”“幼なじみ”って思うようにしてた。




でも、分かってた。



授業中、優吾の目があたしをとらえていたこと。



屋上でサボってるあたしをグランドから見てたこと。




そんな最近じゃない。




もっと小さい時から、幼心に気付いていた。




泣いてるあたしを慰めてくれた時も。



一緒に笑い合った時も。



一緒にふざけ合った時も。




幼なじみという、ポジションに立ちながらも


優吾の心は、いつもあたしに向けられていた。




優しさも

愛しさも

強さも



全て


ひたむきに、あたしの方へと向けられていた。





気づいてたよ。



ただ…

目をそむけてきただけ。