記憶の片隅に





『里衣と二人で話すの、めっちゃ久しぶりだよな』





『うん、そうだね……』




『里衣には、ずっと凌央がいたからな』





『………』




『俺、悔しかった。

いつも近くにいたのは俺なのに、里衣を明るい世界に連れ戻したのは凌央だった。


二人の幸せそうに笑う顔見るたびに、里衣がどんどん遠くなってく気がしてた。



凌央なら、しょうがねぇなって思えたんだ。



幼なじみって立場で、ずっと里衣の幸せを願おうって思ってた』





優吾が一度、言葉を切った。


そして、唇を噛みしめ再び、ゆっくりと口を開いた。




『気付いてたんだろ?

俺の気持ちは分かってたんだろ?』