記憶の片隅に





あたしは、チャイムが鳴り終わってから教室に戻った。




教室では梨花子が待っててくれてた。




『最近、さぼりすぎ。

目…腫れてる』





梨花子はあたしの瞼を見て、そう言った。





あたしは、何も言えなくて俯いた。




『里衣、ごめんね。

何もしてあげられなくて、ごめんね』





梨花子が謝る必要なんかない。



原因はいつも、あたしの中にある。




『梨花子は謝んないでいいの』




『だけど…』





『もう……疲れた』




足の力が抜けて、あたしはうずくまるように床に座り込んだ。




少し、気分が悪い。




梨花子は心配するように、



『里衣、平気?』



と声をかけてくれた。




あたしは、“大丈夫”と一言だけ返した。




大丈夫―



あたしは

こんなに弱くないはずでしょ…