記憶の片隅に





『お前がそんな顔すんなよ…』





『凌央は、何でそんなに余裕なんだよ…!

お前、忘れられてるんだぞ?

このままで、いいのかよ!!』






『良い訳ねぇだろっ!』





つい大声になってしまう。





『…俺だって…、どーしていいか分かんねぇんだよ…。

一番大事だった物を盗られたみたいで…

二人で過ごしたコト全部消されてんだぞ…。


もう、あいつにとって、俺らの過去は空っぽなんだ…。

もう、何も残ってねぇ』





俺はその場にしゃがみ込んだ。





『とりあえず、今日俺も見舞いに行っていぃか?』





遥斗が隣に座りながら問いかけてきた。





『あぁ…』





『凌央は毎日行ってんのかよ?』





『知らねぇ男が毎日来ても嫌だろ…。

今は、まだストレスかけたくないんだよ』





『こんなコト思いたくねぇけどさ…。

……このまま、思い出さなかったらどうするつもりだよ…』





そんなこと。



毎日、毎日答えを探してる。



永遠に里衣の中から俺が消えたら…俺はどうするんだろうか…。




いくら問いかけても、正解なんて分からないんだ。





放課後


俺は遥斗と里衣の病室に向かった。