記憶の片隅に





『何で、サボってんの?』




はるくんがあたしの隣に座りながら聞いてきた。





『何となく、授業出る気分じゃなかった』





『里衣、昔からそうだよなぁ。

ま、俺も同じ理由だけどな』





『人のコト言えないじゃん』




小さな笑いが漏れて、会話が止まった。




きっと、あたしたちが話すべき話題は他のこと。




それなのに、どっちも切り出さない。



沈黙はいつもあたしを困らせる。




『はるくん、あたしに聞きたいことあるんでしょ??

聞いていいよ』





はるくんは、少し困り気味に長めの前髪を触った。




『ぢゃぁ、正直に聞くよ』





『うん、いいよ』





『凌央のコト、気になるの?』




心がかき乱される感覚がした。