記憶の片隅に





『里衣』




午後の授業に出ないで、屋上で居眠りしてると、誰かに名前を呼ばれた。




『凌央!?』



咄嗟にとび起きたあたしは、うかつにも彼の名前を口にしてしまった。




ホントに何となく、来るんじゃないかなって思ってた。




もう、覚悟を決めなきゃいけないんだ。


彼を友だちとして見れるようにならなきゃいけない。





あたしは、目の前の人を見ながら罰が悪そうに言った。





『…はるくん』




屋上に入って来たのは、凌央じゃなくてはるくんだった。




少しだけ気まずい。



けど、はるくんが空気を変えてくれた。