記憶の片隅に





だから、心の中でだけ呟くコトにしたの。





“凌央が好き”




あたしが忘れていた感情。




それを取り戻すのは、難しいことじゃなかった。





だけど、遅すぎたの。




気付くべき時に、気付かずにたくさんたくさん傷つけた。




そして、今気付いてしまった感情はあたしの傷痕を痛めつける。




いっそのこと、このまま忘れてしまえばよかったのに。




そうすれば、こんなに心は痛まずにすんだのに。




どうしようもない孤独が、あたしを包む。




そこで求めてしまうのは、やっぱり凌央の優しさだったりする。




あたしは、どこまで身勝手でサイテーなんだろうか。