記憶の片隅に





『やっぱり!』




そして、すぐに悲しそうな顔をした。





『どうして……、言ってくれなかったの?』




言葉につまってしまう。




『それは…』





何も言えないあたしに、里衣が言葉を重ねた。





『ごめんね。

あたしに、気遣ってたんだよね。

もっと、速く気付ければよかった。
ずっと、1人でそんな大きい気持ちを抱えてたんだよね。


いいよ。

もう隠さないで、いいから』





里衣の声が、あたしの心に何の抵抗もさせずに入ってくる。




全部、分かってくれてたんだ。


あたしの想いが、里衣にはちゃんと見えてたんだ。




そう思ったら、涙がでてきた。