記憶の片隅に





里衣と中島が別れてから、何日かたった。




里衣もだんだんいつもの里衣に戻ってきた。



だけど、友だちとして中島と話してる時に時折見せる、切な気な表情はあたしの胸を痛ませた。




中島も同じ。



自分では気づいてないかもしれないけど、里衣を見るたびに一瞬だけ顔が変わる。




やっぱり、忘れるなんて難しいことなんだと思う。




この前、遥斗と話した時に遥斗も同じようなコト言ってた。




『忘れることは、記憶を消すわけじゃないから簡単じゃないよな。

大切な記憶を過去に変換しなきゃいけないんだもんな』




あぁ確かにな。



あたしは、そう思った。