記憶の片隅に





里衣と中島はちゃんと話し合ったらしい。




教室に帰ってきた里衣は、あたしを見ると号泣した。




里衣の話を聴くと、中島はなかなか、かっこいいこと言ったみたい。




けど、それはきっと中島の本心。



里衣が生きてて、記憶をなくしただけでよかった。



自分のコトだけを忘れられてるのに、中島は強い。




そういうとこは、尊敬する。




里衣が泣いてるのは、自分を責めてるからじゃない。




中島のホントの優しさを知ってしまったから。



今更、気付いても遅いコトをちゃんと分かっているから。




だから、こんなにも涙が出てるんだ。




あたしは、里衣を抱き締めて曖昧な言葉をかけることしかできなかった。




また、自分の無力さを感じてしまった。