入学式の日

みんなに無理って言われたけど一生懸命入った高校。嬉しかった。

桜が咲き始めて間もなくて学校に大きな桜の木があったんだ。感動して立ちつくしてた。
「この桜、綺麗でしょ。」誰かが私の後ろから声をかけてきた。
あの日が初めて会話を交した日。初めて会った日。そして、私が初めて恋した日。
「あなたは…?」
あまりにもカッコイイから上手くはなせなかったんだ。

背が高くて、ガッチリしてて、やさしい顔して、とっても低い声で…。見とれてた…。
「あぁ…。二年の広瀬貴宏です。あなたは?」
広瀬貴宏…。似合ってる名前だった。あんなに笑顔で…。
「渡辺茜です。」
震えた声で言った。
「茜さんかぁ…。ようこそ我が校へ。お待ちしてました茜さん。これからよろしくね。」
手を差し出された。
触れてしまうんだ。指の長い綺麗な手に…。
「はぃ…。」
そっと触れた手。あったかかった…。少しゴツゴツして男っぽい手だった…。

あの日が私の初恋だった…。今でもあの桜の下で手に触れたことを覚えている。

あの人は覚えているのかなぁ…。