顔に手を当て、口を隠した。


すこし、恥ずかしい気もして
不機嫌になりかけた時だった。



「はじめまして、木瀬かおるくん」



すっと手を出してきた彼女が
新しい担任の大塚先生だろう。


それ以外に考えられないし
仮に違ったとしたら矛盾になるしね。



ただその手はゴム手袋で覆われていて

とてもじゃないけど
手は出せなかった



大塚先生も、それに気付いたのか

「あっ」と言って手をひっこめてしまった。





気まずい間が流れる・・・・。




沈黙を切り裂いたのは
柄にもなく僕だった。



「僕、何組なの?」

「・・・えっ?!」




僕がしゃべったことに驚いたのか

自分がしたことに頭がいっぱいだったのか



彼女は僕の問いかけを聞いていない様子で…




「僕!、何組?」


ともう一度聞き直した。




「あ、ああ、クラス!クラスね!!…えぇっと…」


そういうとまだ買って間もなさそうな
新品の皮バッグの中から

クラス名簿をとりだし、


机にそっと置いてきた。




「今年はE組になったのよ、」

「ふぅ~ん…Eね。」




自分で聞いた癖に

僕はつまらなさそうに相槌をうつ。



まるでおせっかいされたような顔で。




そんな僕に、佐伯先生が
足を崩しながら言った


「お前がきいたんだろうがよ(笑)」



知ってる、と言わんばかりの顔で
僕は佐伯先生をにらんだ。




「で、本題なんだがな・・・」