「あのね。おねがい、きいてください」
「おねがい?」
「おばあちゃんが、オータにあえたら、おねがいしてきてって」
「なんだ?」
「あのね。おばちゃんとケンくん、たすけてください」
「おばちゃんとケンくん?」

はて。誰だろうとオイラは考えて、そういえば、最近、守田さんちは一番小さな男の子とお母さんの気配がないような気がするなと気がついた。

「守田さんちの子と母ちゃんか?」

何があったと聞くオイラに、ミキちゃんは一生懸命話してくれた。

「あのね。ジコにあっちゃったの。おーだんほどーで、ちゃんと手を上げていたのに。ケンちゃん、ちゃんと手をあげてたのに。車がきちゃったの。おばちゃんとケンちゃん、はねちゃったの」

顔が強張っていくのが、オイラにも判った。
オイラが守ってあげなきゃいけない人間が、危ない目に合って大変なことになっていることが判った。


だめだなあ。
オイラ。
いっぱい大事にしてもらっているのに。


最近は起きているのも大変で、ついつい寝てしまっていた。
うとうとしていたその間に、とても大変なことが起きていたのに、オイラはそれにも気づかず眠っていたようだった。