人間とは違うので、夜なったら寝ようとか、朝になったら起きようとか。
オイラには、そんな決まりはないのだけれど。
人間たちがそうしているのを見て真似ているうちに、オイラもそうするようになっていた。

「かみさまもねるの?」

人の声で目が覚めた。
けっこう高いところまで、お日さまは昇っていた。

目の前には、昨日の女の子がいた。

「おはようございます」

ぱちりと目を開いたオイラを見て、女の子はそういうと頭をペコリと下げた。

「かみさま。これ、どうぞ」

手にした皿には、団子が山になっていた。

「ありがとうな。うまそうだな」

オイラの前に置かれた皿を見て、オイラはにこりと笑った。

「お前。名前は」
「ミキ。むずかしい字なんだよ」
「ミキちゃんか。どこのウチの子だ?」
「あたしのウチは、とおいとこだよ。きのう、おおおじぃのところにきたの」
「おおおじぃ?」
「守田のおおおじぃだよ」
「ふうん。守田さんちの客人かあ」

なら、オイラが見えてもおかしくはないか?
そんなことを考えながら、オイラは団子に手を伸ばした。

「うめえな」
「オータは、おしょうゆと、おさとうをかけた、おだんごがすきなんでしょ」
「うん。オイラ、これが好きなんだ」
「おおおじぃに、かみさまがいたよっていったら、つっくてれたの。おばあちゃんはいつもこれをつくっていたから、きっとサクラのかみさまはこれがすきなんだろうって」

そうだ。
オイラは、この団子が一番好きだった。
久しぶりの団子に、オイラの顔をホクホクさせた。


ん?


何かが、引っかかった。