オイラたちの寿命ってやつと、人間たちの寿命は違う。
だから、生まれたばかりの守田さんの赤子が、子どもになって、大人になって、いつの間にか姿を消して。
そして、また赤子が生まれて。
そんな繰り返しを、オイラはずっとみてきた。
いつだったか、人間が言う戦争とかってやつがあったころ、オイラは切られそうになった。
理由はよく判らない。
でも、切られずに残った。
守田さんや村の人間たちが守ってくれたらしい。
カワチのじいさんが教えてくれた。
オイラの立つ山のふもとには、防空壕と呼ばれていた穴があった。
ある夜。
守田さんや村の人が、みんなそこに逃げてこんだ。
遠い村が、火に焼かれていることは、オイラにも判った。
ブーンという気味の悪い低い音が、その火の手かあがる空のほうから近づいてくるのも判った。
人間たちはそれを怖がっていたから、カワチのじいさんたちと一緒に、こっちにくるなと追い払った。
戦争が終わったら、村に住む新しい人間たちが増えた。
けれど、村を出て行く人間も増えた。
そんなこんなを見たりしながら、オイラはここで、春がきたら花を咲かせている。
さっきの子。
守田さんちの子じゃねえな。
どこの子だ?
オイラを見たような気がするんだけどなあ。
気のせいかなあ。
青いスカートをはいて、髪をひとつに束ねていた、小さな女の子を思い出す。
何も言わずに駆けていってしまった後ろ姿を思い出す。
だから、生まれたばかりの守田さんの赤子が、子どもになって、大人になって、いつの間にか姿を消して。
そして、また赤子が生まれて。
そんな繰り返しを、オイラはずっとみてきた。
いつだったか、人間が言う戦争とかってやつがあったころ、オイラは切られそうになった。
理由はよく判らない。
でも、切られずに残った。
守田さんや村の人間たちが守ってくれたらしい。
カワチのじいさんが教えてくれた。
オイラの立つ山のふもとには、防空壕と呼ばれていた穴があった。
ある夜。
守田さんや村の人が、みんなそこに逃げてこんだ。
遠い村が、火に焼かれていることは、オイラにも判った。
ブーンという気味の悪い低い音が、その火の手かあがる空のほうから近づいてくるのも判った。
人間たちはそれを怖がっていたから、カワチのじいさんたちと一緒に、こっちにくるなと追い払った。
戦争が終わったら、村に住む新しい人間たちが増えた。
けれど、村を出て行く人間も増えた。
そんなこんなを見たりしながら、オイラはここで、春がきたら花を咲かせている。
さっきの子。
守田さんちの子じゃねえな。
どこの子だ?
オイラを見たような気がするんだけどなあ。
気のせいかなあ。
青いスカートをはいて、髪をひとつに束ねていた、小さな女の子を思い出す。
何も言わずに駆けていってしまった後ろ姿を思い出す。


