守田さんの家には、ときどき、面白い子どもが生まれた。
オイラが見える子どもが、ときどき、思い出したように生まれてきた。
ずっと見えているわけではない。
子どものころ、ほんのちょっとの間だけ、オイラが見えて、オイラと話せた。
そういう子が生まれてきてくれたときは、ちょっとだけ、いつもより楽しくなった。
この前、そんな子が生まれたのは、いつだったか。
オイラには、ついこの前のような気がするけれど、人間の時間にしたら、多分、随分と昔のことになるかもしれない。
右目の下に黒子があった女の子だった。
カヨちゃんと、みんなには呼ばれていた。
花代と書くと教えてくれた。
カヨちゃんは、守田さんちで一番頭がいい女の子だった。
毎日、オイラに聞かせにきてくれた話は、どれもこれも楽しくて、オイラはあの子に会うのが楽しみだった。
かみさまでは呼びづらいと、オイラにオウタと名前をつけてくれたのはカヨちゃんだった。
桜太と書くらしい。
カヨちゃんは、ちょっと変わった女の子だった。
随分と大きくなっても、オイラが見えている女の子だった。
こんな大きくなるまでオイラが見えている子は初めてだと言ったら、なぜかカヨゃんは泣いていた。
‐いつか、私も見えなくなるの?
‐怖いよ
‐ずっと、こうしていたいよ
泣きながらそう言われ、オイラはただ困っているしかできなかった。
泣き止んだカヨちゃんが帰って行く後ろ姿に、オイラも呟いた。
‐オイラもだよ、カヨちゃん
‐ずっと、カヨちゃんとこうしてたいよ
そんなカヨちゃんに最後に会ったのは、カヨちゃんがお嫁に行くことが決まった日だった。
もう、そのころには、カヨちゃんにもオイラは見えなくなっていたし、声も聞こえなくなっていたけれど。
けれど、カヨちゃんは一生懸命オイラに話しかけてくれた。
オイラが見える子どもが、ときどき、思い出したように生まれてきた。
ずっと見えているわけではない。
子どものころ、ほんのちょっとの間だけ、オイラが見えて、オイラと話せた。
そういう子が生まれてきてくれたときは、ちょっとだけ、いつもより楽しくなった。
この前、そんな子が生まれたのは、いつだったか。
オイラには、ついこの前のような気がするけれど、人間の時間にしたら、多分、随分と昔のことになるかもしれない。
右目の下に黒子があった女の子だった。
カヨちゃんと、みんなには呼ばれていた。
花代と書くと教えてくれた。
カヨちゃんは、守田さんちで一番頭がいい女の子だった。
毎日、オイラに聞かせにきてくれた話は、どれもこれも楽しくて、オイラはあの子に会うのが楽しみだった。
かみさまでは呼びづらいと、オイラにオウタと名前をつけてくれたのはカヨちゃんだった。
桜太と書くらしい。
カヨちゃんは、ちょっと変わった女の子だった。
随分と大きくなっても、オイラが見えている女の子だった。
こんな大きくなるまでオイラが見えている子は初めてだと言ったら、なぜかカヨゃんは泣いていた。
‐いつか、私も見えなくなるの?
‐怖いよ
‐ずっと、こうしていたいよ
泣きながらそう言われ、オイラはただ困っているしかできなかった。
泣き止んだカヨちゃんが帰って行く後ろ姿に、オイラも呟いた。
‐オイラもだよ、カヨちゃん
‐ずっと、カヨちゃんとこうしてたいよ
そんなカヨちゃんに最後に会ったのは、カヨちゃんがお嫁に行くことが決まった日だった。
もう、そのころには、カヨちゃんにもオイラは見えなくなっていたし、声も聞こえなくなっていたけれど。
けれど、カヨちゃんは一生懸命オイラに話しかけてくれた。


