俺は彼女の名前を聞いたことがない

 俺と彼女の家は反対方向で、今回は電車で来たため、それぞれ反対のホームに行かなければいけない。



その別れ際で。




「また明後日学校で」


「うん」


そして二人で見つめ合う。
傍から見たらバカップルだと思われてしまうだろう。



…む、無理だ。このまま見つめ合い続けるなんて俺にはできん…!


俺は顔を背けてしまった。

今彼女はどんな顔をしているだろう。
何を思っているだろう。


見てみたい。
見てみたいが、またすぐ顔ごと背けてしまう。


どうすればいいんだ。



…あ、そうだ。

今だ。
今がチャンス。

彼女の名前を訊く時だ!