今は入学式が終わり一週間がたった。

１年生は知らない人ばかりの教室にも慣れ、少しずつ打ち解けてきたころだろう。

そんな微妙な時期に転校生。

噂好きの中学生にとっては転校生というネタは新鮮だったはずだ。



「えー、今日は転校生を紹介する。入って来なさい」

「はい」

凛とした声が響き、ドアが開く。

無駄のない動作で開かれたドアからは学院指定の制服を纏った少女が入ってきた。

「転校生の神保悠華さんだ。家庭の事情で急遽イギリスから日本に戻ってきたそうだ。彼女は日本人だが、日本に来るのはこれが初めてなのでみんな助けてあげるように」

「「はーい」」

担任がそう言うと生徒達は元気良く返事をした。

「それでは、神保。挨拶をしなさい」

「はい。先ほどご紹介を頂きました神保です。よろしくお願いします」

そうして、少女……いやアタシの学院生活がスタートした。