プルル…ー
プルル…ー
『もしもし』
2コールで出たあいつ。
心臓はバクバクと言ってる
苦しい。うまく息が吸えない。
目頭に涙が溜まっていく
声が出ない。
『柚李…決まったんだろ?』
分かっているような口調で言ってくる
「………戻ります」
震えていることを悟られないよう気をつけながら言った
すると、あいつは、ふっと鼻で笑って
『さすが柚李。明日迎えに行く』
「はい」
返事をすると、ブチっと切られ
嵐には睨まれ…
……にら、まれてる…
「何。俺に頼みたいこと」
めちゃくちゃ不機嫌…
「…私になって」
「…………それがおまえの望み?」
「うん。これが私の望み」
何があっても嵐は行かせない
私だけが犠牲になればいい
私だけで十分だよ
これ以上大切な人を失いたくないんだよ…


