柚李side


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「ハァ…ハァ…ハァ…!……っ…。」


いやっ!!来ないで!!



『おまえは俺から逃げられない』



ズキー…



頭に響く低い男の声


聞いただけで体中の血の気が引く



ひたすら走っても…走っても“何か”は追いかけてくる




「いや……助けてっ」



そう叫んでもこの暗闇には何もない。



いるのは私と、追いかけてくる“何か”



聞こえるのは、2人の足音と息づかい


もう足に限界がきた

さっきからガクガクと震えてる


「も、う…駄目…」



諦めようとした時ーーー



「光?」


5m先に光っているドアがあった




「あと、もう少しっ」



一気にスピードを出そうとしたその時だった



ガシっ



心臓がドクンっと大きく波打った

声が出ない…!


足は立っていられないほど震えており


全身が恐怖に怯え震えていた



「はな、して…」



小さい声だったが言えた。


そう思ったつかの間



『……離してやるが、覚えておけ


―俺はおまえを絶対に逃がさない―残りの日を楽しく過ごすんだな』




その言葉と同時にドアに吸い込まれていった

中は真っ暗な闇。



「…!き、きゃあぁぁぁあ!!!」



叫び続けていたらドンっと背中を思いっきり打った


「うっ…」と小さな呻き声をあげて私の意識はそこで途絶えた



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