それから数分後…
手術室から明かりが消えたと同時に中にいた医者が真っ赤な血をつけたまま出てきた
父さんは医者に「妻は!?娘は!?」と聞いた
それに医者は
「娘さんの手術は成功しました
麻酔がきれれば目を覚ますでしょう
ただ…」
俺は幼いながらも分かったんだ
『母さんは助からなかった』
と。
その証拠に医者は「全力を尽くしたのですが…
先程、息を引き取られました。
その前に『子供たちをよろしくね
ありがとう。愛してる』と言っておられました」
医者はそう言って足早にこの場を去った
間もなくして柚李が運ばれてきた
顔の右頬には柚の小さな顔には大きすぎるくらいのガーゼが貼ってあった
「ご家族の方はどうぞ、こちらへ…」
俺たちは看護師さんに案内されて
斉藤 亜柚
と書かれている病室に入った


