唇を離せば、梶さんはそっとあたしを抱きしめる。 ねぇ……どうして、抱きしめてくれるの? 耳元で小さく「ごめん」そう、言われて。 「今だけ……許して」 梶さん……その言葉は、誰に言っているの?? あたしは、 ただ、 大きくて寂しそうな背中に両手をまわすことしかできなかった。