【完】*運命論*






だから、こんなの初めてで、どうすればいいかわからなくて。





「新垣……好きだ。ずっと、好きだった」


そう言って、あたしと額を合わせる。

「……ッ」

「知ってた。お前に、好きな男がいるのは。いつも幸せそうに笑ってたから、叶わなくてもいっかって思ってた。幸せならいいって。
でも、新垣が泣いてんなら別」


真っすぐな瞳で、あたしを見つめる。



「なぁ、その涙は、必要なもの? 新垣が幸せになるために、必要?」

「……ッ」

「……涙が必要な幸せなんて、幸せじゃねーよ。

なぁ、やめちまえよ。
新垣がやめなくても、俺は、


新垣を泣かすような奴に、譲る気ない」





真っすぐすぎる言葉に、


涙があふれた。