【完】*運命論*





零れそうになった涙を手で拭っていると前から「新垣?」とあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。

見れば、

「川崎くん……」

目を丸くしている川崎くんが立っていた。

「ちょっ、なんで泣いてんだよ……」

「め、目に、ゴミが入っちゃってっ」


そう笑ったあたしを見て、川崎くんは向こうの道を見る。

見た瞬間、「あぁ、なるほど」って顔をしたのは……なんで??


「……新垣、やめろよ」

「え?」

「報われない想いなんて、捨てちまえよっ!!」


急に怒鳴る川崎くんを見て、あたしは驚きが隠せなかった。


「ずっと、見てる奴がいんだよっ! おまえを!
他の男を想ってるお前を、


想ってる奴がいんだよ……ッ」



切なそうな顔でそう言う川崎くんは、あたしを強く抱きしめた。