梶さんの手が、あたしの口からゆっくりと離れる。

あたしの瞳からは、涙が止まらない。


「……泣くなって、無理、だよな……」

頭をポリポリとかきながら、切ない顔をする。


なんで?

なんで、そんな苦しそうな顔をするの?



あたしだって、苦しいんだよ。



「かじさん……」

「ん?」

「……んで」

「ぇ……」

「唯って、呼んでよぉ……」




東さんのことは、”あず”

箕原さのことは、”奈南”




唯って、呼ばれたいよ。