【完】*運命論*







「ねぇ、梶さん」

「ん?」

「あたしね、初めて恋を知った。

初めて、恋がこんなにも幸せなんだって知った。

こんなにも……苦しいときもあるんだって」

「……」

「苦しくても、あたしは、好き」

「……にぃ」





「梶さん、あたし」





”梶さんが好き”




そう言おうとした瞬間、梶さんは片手であたしの口を覆った。


「ごめん、ごめん、ごめんな」

な、んで……?

梶さん、どうして?」

瞳に、涙が溜まっていく。