「ははっ。うち、コーヒーの才能ないんだよね」
「あ、あはは……」
「……うちさ、前は金髪のヤンキーだった」
「え……」
「変えてくれたのは、尚紀だよ。
暇そうにしてるうちを、”もったいねぇよ”って言ってきて。親関係で面識会ったから、知ってたけど、全然興味なかった。その後、無理矢理店長にさせられて。
でも、楽しかった。
毎日暇でしかたなかった。ダチと遊んでもすっきりしなかった。
だから、あいつには感謝してんだ」
「……」
「あいつは、人を救ってくれる」
そう、真っすぐな目で東さんは言った。
「ティラミスの意味、知ってか?」
「いえ……」
「”わたしを引っ張りだして”」
え……。

