「カウンター、すわんな」
「ぇ、準備……」
「15分前に来る奴がいるから、そいつにやらせる」
「え、えー……」
「いいからいいから」
あたしは少し緊張気味で、カウンターの前の席に座る。
「お名前は?」
「ぁ、新垣、唯、です……」
「唯ちゃん、か。
今日も、尚紀目当て?」
「へっ?!」
「見てりゃわかるよ〜」
「うぅ……」
「ははっ。まぁ、応援してるけど……あいつを落とすのは、難しいぞぉ」
「……知ってます」
梶さんが、いろんな女の人に惚れるような人じゃないくらいわかる。
だから……
好きでもない人と、
一緒に暮らさないと、思うんだ。

