「唯」
優しい声で、美由はあたしを呼ぶ。
「好きなら、それでいいの。
相手に彼女がいても、叶わない恋でも、
好きならそれでいいんだよ。
好きになるのは勝手。
好きでいるのも勝手。
だけどね、好きになってもらうのは違うよ。
相手の気持ち次第。
絶対に、自分の気持ちを押し付けちゃダメ。
「好きだから一緒にいる」「好きだから誰とも話さないで」
なんて、自分だけが好きなら言っちゃダメなの。
だけど、たった一つだけなら、いいと思う」
「なに?」
「”好き”」
「? だけ?」
美由は優しく微笑んで、頷いた。
「好きって伝えるのも、こっちの自由。
誰の許可もいらない。
だけど、伝えるには勇気がいる。
唯が言うのか言わないかは、唯次第だよ」

