必死に涙を拭うあたしを、梶さんは「ドアホ」と言ってそっと抱き寄せた。
「梶、さん……?」
「ぁー時間なくて言いたいこと全部言えねーか。んじゃ、手短に伝えるな」
梶さんはあたしの前髪を上に上げて、チュッとキスをした。
「……にぃ、今までたくさん泣かせてごめん。辛い想いさせてごめんな。信じてもらえねーかもだけど、言わせて。
俺は、ずっと好きだったよ」
「……う、そ……」
溜まっていた涙が溢れ出す。
これは……夢??
梶さんは優しく笑ってあたしの頬を撫でる。
「何十年後でも、待っててくれるか?」
梶さんはあたしの手をとって、そっと小指に小さなリングを通した。
花の形をしたピンク色の石と、小さな石が周りついている指輪。
あたしの瞳から、さらに涙が溢れ出した。

