梶さんの横を歩いていると、いつの間にかジェットコースターとは真逆の方向に向かっていた。
「か、梶さん? ジェットコースターは、向こう……」
「メリーゴーランド、だろ?」
「ぇ……」
「さっき視線がそっちに言ってたっ!」
そうニッと笑った梶さん。
──キュンッ
嬉しい。
嬉しすぎるよ。
なんで……そんな小さなことに気づくの?
「素直じゃないとこ、俺の知り合いにそっくりだな」
そう、言った梶さん。
この時……あたしは、嬉しくて嬉しくて、梶さんの表情に気づけなかった。
すごく、寂しそうな顔をしてたんだね。

