【完】*運命論*






翌日の早朝に、東京へと戻った。

家に着いたら、メモが置いてあって。


【バイト、夏休み明けまで休んでいいって東さんが。奈南より】


「うおっ、マジ?」

……まぁ、どうせ、アズが奈南を気に入ったんだろうな。

俺は苦笑いをして、夕飯の準備を始めた。



奈南が帰ってきて、俺を見て「スッキした顔してる」と笑った。


「ぁ、奈南、おばさんから伝言」

「……なんて?」

「“たまには顔を見せにきてね”だってよ」

「……まぁ、たまになら」

「ぷっ」

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言ってる姿は、どこか新鮮で。


「なに笑ってんの」

すねてる姿は、今までの奈南から想像できなくて。


俺も奈南も、



前に進めたと、そう思えた。