「コーヒー、無糖だったわよね」
「ぁ、はい。すみません」
「いいのよ。……菜摘にあいさつ、してもらえる?」
「はい」
俺は優しく笑って答えた。
線香に火をつけて、手を合わせて目を瞑る。
「尚紀くん、コーヒーできたわ」
「ありがとうございます」
俺は椅子に座って、コーヒーを口にした。
「……菜摘がいなくなって、初めてきてくれたわね」
「はい。……今まで、逃げてばかりだったので」
「ほんと……大っきくなっちゃって。……奈南も、大きくなってるといいけど」
「……奈南さんは、今、俺と一緒に暮らしてます」
「え?」
おばさんは目をまん丸にして、身を乗り出した。

