奈南には、すげー背中を押してもらった。
でも、きっと、奈南の背中を押すのは俺の役目じゃないから。
翌日、俺は奈南の家へと向かった。
奈南の家はここ、東京からちょっとだけ遠い千葉にある。
とりあえず二泊分の着替えもってきたけど……。
俺は一度唾を飲んで、少し震えた手でインターホンを押した。
『はい』
「ぇっと、梶です」
『あ、あらあら、ちょっと待ってね』
会ったのは数回だけだけど、懐かしい声。
ガチャと、玄関のドアが開いた。
「……お久しぶりです」
俺は深く頭を下げる。
「……すっかり大きくなっちゃって。あがって」
優しい声……変わってない。
俺は「はい」と返事をして、あがらせてもらった。

