……あと、まだ会わないと行けない人がいる。
夜に奈南が帰ってきて、俺はそれまで夕飯を作って迎えた。
「おかえり。明日はバイト、行くんでしょ?」
「……いや、行きたいとこ、あるんだ」
「?」
「……菜摘の、おばさん達に会ってくる」
「っ!! ……やめてよ」
「奈南」
「あんなババァに、今更……ッ」
奈南がここに居続けてる理由。
ずっと……俺のためだと思ってた。
奈南も理由を話したことはなかったから。
だけど……最近、奈南はよくケータイを目にしてる。
開いてるページは、アドレス帳。
「奈南のことは、聞かれたら俺のとこにいるって話す」
「……」
「会いに行けなんて言わねーよ。でも、奈南もさ、会えるといいな」
「なによ」
「……自分を、前に向かせてくれる奴に」
奈南は目をまん丸にして、「偉そうに」と小さく呟いていた。

