唇を離せば、にぃは「さ、さよならっ」と走って行ってしまった。
俺は自分の部屋に戻る。
すると、奈南も篠も爆睡していた。
「ったく」
2人に布団をかける。
すると、『プルルル』と家の電話が鳴り始めた。
「はい、もしもし」
出れば、聞こえてきたのは、忘れるはずのない声。
『尚紀か』
「……はぁ、なんなんだよ、ったく、親父」
実の、父親。
『お前にアメリカ行きのチケットを送った』
「は?」
『私の後を継いでもらうからな』
「何度も言ってるけど、俺は継ぐ気なんてない」
『継いだ後はお前の好きなようにすればいいさ』
「……断る」
『まぁ、考えとけ。利益のある道をすすむか、なにもない道を進むか』
親父はそう言葉を残して、電話をきった。

