【完】*運命論*






さっきまで下を向いてたにぃはバッと上を向いて、俺は下を向いた。

こんな情けない顔、見せれるかっつーの。

『二年前に、交通事故で死んだ。奈南の……双子の姉貴だった。アホでバカでドジで、目を離せない奴。離れたくない女だった』

隣が、たまらなく心地よくて。

……にぃに、そっくりの笑顔を見せるんだ。


俺は、にぃを、強く抱きしめる。

『梶さん……泣いて、いいんだよ?』

そんなこと、今言うなよ。


……菜摘。


俺はにぃの顎を、そっと持ち上げる。


……ごめん、菜摘。

俺……



このバカみたいに不器用な奴が、たまらなく好きなんだ。




だから、こいつの側に、いてもいいよな……?




『好きだ』


名前は、まだ呼べねーわ。

でも、この言葉に、嘘なんか一つもない。

全部、にぃへの想いだけだから。



俺は、そっと、唇を重ねた。