「はぁーっ、あんた、どこまで不器用なわけ」
「……うっせ」
「あの子、泣いてるよ、絶対」
「……」
「あんだけお姉ちゃんに似てるんだもん。まぁ、お姉ちゃんだったらコソコソ泣かないで、ここでビービー泣いてただろうけど」
「ははっ、だろうな。……ハッキリさせてくるな」
「……早くいきなよ」
俺は、部屋を飛び出した。
マンションを出れば、にぃの背中が見えて。
にぃの名前を呼べば、にぃは、大粒の涙を流し始めた。
『彼女がいるんでしょ?! ケーキを用意して、あんな風にパーティーを開くほど大好きな彼女がいるんでしょっ?! だったら……ッ、抱きしめないでよ……ッ』
必死に大声をあげて、涙を流しながら言うにぃ。
“期待させないで”
そう、言ってるようで。
にぃ……違うんだよ。
大切なのも、大好きなのも、
今は、にぃなんだよ。
誤解を解くために必要な言葉。
……わかってる。
これを言ったら、軽蔑されるかもしれない。
“最低”って、嫌われるかもしれない。
それでも……ハッキリさせるためには、言うしかねーんだ。
『死んだんだよ……俺の、彼女』

