気づいたら、にぃを抱き寄せていた。 『梶……さん?』 その声、やめろよ。 心臓がうるさくなんだよ。 『にぃ……』 “唯……” そう呼べたら……どれだけ楽になんだろう。 でも、わかってる。 そっと顔を近づけて、ギリギリまで近づけて、それでも結局触れたのは……額だけ。 わかってるんだ。 俺が楽を選んだら、 俺の大事な人を……裏切ることになるぐらい。