いつもの交差点で梶さんと別れる。 鼻歌を歌いながら歩いていると、目の前に思わぬ人が立っていた。 「幸せそうに笑っちゃって、呑気な子」 「……箕原さん」 「ほんと、ムカつくぐらい無邪気ね」 「……」 「なおは、お姉ちゃんを忘れないわよ。ずっと愛してたんだから」 「……はい」 「……」 「それでも、あたしは好きでいるって決めたんです。 たったの数分間でも、梶さんの隣にいたいから」 バイト帰り……たったの15分ぐらい。 その短時間でも、梶さんの隣にいたい。