「にぃ、少し歩きながら話していいか?」
「? うん」
梶さんは優しく笑って、空を見ながら話し始めた。
「俺、太陽見るとさ結構元気になんだよね。なんか、光り浴びられて、すっげぇ落ち着く」
「うん」
「……あいつも、太陽みたいな奴だったんだ」
”あいつ”
……ナツミさん、っていう人。
梶さんの、大好きな彼女。
「あいつと俺が最初に会ったのは、なんだと思う? あいつ、一人雨の中傘もささないで歩いてんの。理由聞いたら、”雨の日、雨を浴びてるカエルのキモチになりたくて”とか言い出して」
「ぷっ」
「笑うだろ?」
「うんっ。……すぐに、つき合ったの?」
「まぁな。そんで半年後に交通事故。この前、にぃが腕時計、誰からもらったのって聞いただろ?」
「ぁ、うん」
「あれ、菜摘から」
……やっぱり。
思わず下を向いた。
だけど、ふってきたのは、思わぬ言葉。
「死んだときにもらったんだ」
え……?
「あいつ、俺の誕生日に死んだんだよ」

