あたしは梶さんがバイトを終えるまでお店にいて、梶さんがあがった時にお店を出る。
そうすれば、店員用の出入り口から出る梶さんと会えるから。
「にぃ」
「梶さん、一緒に帰っていい?」
「……あのさ」
「知ってるよ。わかってる。
梶さんに好きな人がいて、その人が忘れられない。
あたしにはそれがどんなに苦しいのかわからないけど。でも、絶対に諦めないからね」
「……諦め悪いんだな、お前」
「意志が強いって言ってよ」
「ふっ。……俺は、お前が羨ましい」
「え……?」
切なそうに、そういう梶さん。
「……ほんと、眩しーわ」
小さくそう言って、あたしの頭を優しく撫でる。
……それは、どういう意味??

