「唯ちゃんってさ、あんまメイクしてないよね」
「ぁ、はい。その……なにしたらいいかわかんなくて」
「唯、不器用なんですよ〜」
「へぇ、器用そうに見えるけど」
「ぁ、いや……」
梶さんに言われると、なんて答えていいかわからなくなる。
上手に、話せなくなるんだ。
「っと、そろそろ美由ちゃんやばいよね」
「ぁ、ほんとだっ!」
時計は7時半。
美由の門限8時だから、たしかにやばいかも……。
「俺、送ってく」
「笹木さん、ありがとうございますっ!」
……え?
「じゃあ、唯は梶さんに送ってもらえば?」
「え、え、ちょっ」
美由は「じゃーねー」と笹木さんと行ってしまった。

